冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。


そんなわたしを、目を見張って呆然と見つめている飛鳥馬様にしばらく気づけなかった。


そしてわたしは、ようやく自分のしていることの重大さに気づく。



「……っは!わっ、わたしってば……っ、何やって」

「……あやちゃん?」

「す、すすすすみません……っ!今すぐ離すので──」



心臓の動悸が治まらない。



わたし、めっちや盛大に嚙んでしまった……恥ずかしいっ。

だけどそれよりも……っ。なんてことをしたのわたし!!


慌てふためきながら、パッと飛鳥馬様の手から両手を離そうとした。

……んだけど。



「へ……っ、?」



なぜか、飛鳥馬様の大きな右手に、離しそこねたわたしの左手がぎゅっと握られている。

何度手に力を入れて離そうとしても、わたしの手を握る飛鳥馬様の力が強くなるばかりで、2人の手は重なり合ったまま。

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