冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。


「……そういう血筋だから」



飛鳥馬様がボソリと小さな声でそう呟いた。

それは、ぎりぎり聞き取れるか聞き取れないかぐらいの小さな声。



「え……?」



そういう、血筋だから……?

……え、なに、どういうこと?


手が冷たいっていうのに、血筋とかが関係しているのかな……、一体どういうことだろう。



「血筋って、手の冷たさに関係する場合があるのですか……?」



きっと今わたしが聞いていることは無礼極まりない。

それでも、知りたかった。どうしても知りたくなった。

冷たい手をする飛鳥馬様に、少しだけ触れてみたかった。



「ほら、血筋は争えないってよく言うでしょ?おれたち飛鳥馬家の場合は、“冷酷”なんだよ。自分の性格も、身体も、雰囲気も、何もかもが冷酷。

──そういう血筋だから、おれの手は冷たいんだ」

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