冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
唯一無二
-麗仁side-
『あやちゃん、その顔は分かってないでしょ。とりあえず頷いとけばいっか、とか思って、てきとーにやり過ごしてるんでしょ』
あやちゃんがおれとは住む世界が違うなんてひどいことを言うから、ムッとした。
傷ついた。
そして、おれの言葉にてきとーに返事を返しているんじゃないかって疑って思わず訊ねたのに、
『…っ、そ、そんなことないです!』
あやちゃんは大きな声でそれを否定した。
あやちゃんの一挙手一投足におれの心は振り回されてばっかりなのに、そんなことを知りもせずにおれが欲しい言葉をくれるあやちゃんに気分が高まる。
気分が高まるって言葉だけじゃ表せないくらい、おれの心は今すごく満たされている。
それでも、そんな気持ちは一瞬にして崩れ去った。
『あやちゃんって、彼氏とかいるの』
思わず口をついて出た言葉が、これだった。