冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。


飛鳥馬様には、かっこいいという言葉より綺麗とか、美しいとか、そっちの言葉が似合うのに……。


本人は、それに気づいていないのだろうか。

……もしそうなら、それはかなり重症だけれど。



「───かっこいいって言ってよ」

「……っへ?」



低いトーンで落とされたその言葉。

わたしの聞き間違いかと思って、飛鳥馬様を2度見してしまう。

だけどそこには、静かに微笑みながら挑発的な瞳でこちらを見つめるお姿があるばかり。


自分に自信がある人って、なんて美しいんだ。


まっすぐに前を向いているだけで、胸を張って生きる姿だけで、その人がこんなにも眩しく映る。きっとそれは、飛鳥馬様だけでなく全人類に共通していること。



「あ、飛鳥馬様は美しい、とオモイマス……」

「なんでカタコト?てか、おれが言ってほしいの、その言葉じゃねぇんだけど」



ううっ……、口調が崩れた飛鳥馬様の威力、凄まじすぎる……っ!

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