冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。


飛鳥馬麗仁と繋がっていたということは、きっともう俺の正体だってバレているだろう。


だから、俺は包み隠さずに話す。



「ここにいるとさぁ、俺を狙って襲ってくる連中は沢山いたんだよ。それを必死に交わしたり、長い時間かけて時々西ノ街に戻ったり……」

「……っ、う、うん」



脈絡のない俺の言葉を必死に理解しようと聞いてくれる彩夏は、すごく彩夏らしくて、また愛おしい気持ちが込み上げてくる。



「───だからさ、彩夏」

「……」



その名前を呼ぶ自分の声は、柔らかかった。



「俺を振ってくれて、ありがとう。これでようやく、東ノ街を去るきっかけが出来たよ」



俺ってこんなに、心の広い男だったか?

彩夏が俺を振ったことに罪悪感を抱かないように、ここまでウソを重ねて笑顔を浮かべられるような男だったのか?

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