冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
「ねえねえ、彩夏ー。何か悩み事があるならいつでも私に相談していいんだからね!私、いつでも準備できてるから!」
「…う、うん。ありがとう美結ちゃん」
はぁ……、親友に心配かけちゃうなんて、ほんと情けないなわたし。
わたしがもっと器用な人間だったら、悩みがあるなんて一切感じさせない振る舞いが出来たのに。
少しの後悔に見舞われながらも、わたしは朝の会が始まるまで美結ちゃんとお喋りに花を咲かせていた。
それから、山西先生がいつものごとく猫背で教室に入ってきて朝の会が進み、いつもと変わらないような1日を過ごして、放課後が来た。
……ああ、ついに来てしまった。この放課後が。
来るな来るなと願っている時こそ、時の流れが早く感じるのは気のせいだろうか。
「じゃあ彩夏、また明日っ!」
「うん、ばいばい美結ちゃん。部活頑張ってねっ」
「ふふっ、うん!頑張るぅー!」