冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。


「……っ、そ、そんなことないです!」



だけど、今でもこの漆黒の瞳にじっと見つめられると、少し怖かったりもする。



「あははっ、全力否定!」

「……!」



飛鳥馬様って、こんな風に思いっきり笑うお方だったっけ……?

未だにくつくつと肩を揺らして笑っている飛鳥馬様の表情は、本当に楽しそうだ。



「わ、わたし今日は自分1人で帰りますから!さようならっ」



飛鳥馬様にここまで笑われるとは思っていなくて、顔に熱が集まる。その赤い顔を絶対に見られたくなくて、わたしは家に向かって歩き始めた。


……が。



「ちょ、あやちゃんひどい……っ。真人、早く車出して!」

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