冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
『……っ、わたしは、人を不幸にするのが得意なんです。わたしがいたら、わたしなんかと一緒にいたら、飛鳥馬様はきっと不幸になっちゃう、から……っ』
『誰があやちゃんにそんな風に思わせたの。……おれ、一回言ったよね。自分のことを“なんか”って蔑まないでって』
優しく静かに、けれど諌めるように力強い声が振り落とされる。
『だけど、わたしはいつまでも疫病神なままで……』
『なに、まだ続ける気?』
ぐっと眉をしかめたその表情に、喉元がヒュッと締め付けられる。
この方は、今、とてつもなく怒っている。
『ごめ、なさ……っ、』
喉が緊張によって締め付けられているせいで、謝罪の言葉が上手く言えない。
『あ゛ー、……別に謝らなくていいから』
宙を仰いで、掠れた声と共にそう吐き出す飛鳥馬様。
『……っ、』