冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
だけど、だからといっていつまでも蹲っているわけにはいかない。
わたしが立ち止まっている間も、時間は刻々と過ぎていく。わたしがどんなに落ち込んでいても、この世界には眩い太陽が昇る。
まるでわたしをあざ笑うかのように、毎日は容赦なくやって来る。
台所に行き、インスタントラーメンを作るためのお湯を沸かす。最近の食事は、ずっとこればかりだ。
引っ越しする前までは自炊も出来ていたのに、バイトをし始めてからというもの、気力と体力が削れてそれどころじゃなくなった。
こんな生活をずっと続けていけば、間違いなく不健康になる。そういう危機感はあるのに、もう無理なんだ。
家に帰ってまで何かを頑張るということができなくなってしまった。
「美結ちゃんからのライン、返さないとなぁ……」
きっと心配、かけてるよね……。
しっかりしなきゃ。いつまでもこのままじゃいられない。