冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
そう呟いた瞬間、頬に一滴の涙が伝った。
【美結ちゃん、今までお返事出来てなくてごめんね。ちょっと、色々なことがあって……、今はまだ学校に行けないの】
【でも、近いうちにちゃんと学校行けると思うから、心配しないで。沢山心配かけてごめん。だけど、ありがとう】
いてもいなくてもどうでもいいわたしのことを心配してくれる人がいるってことが、こんなにも嬉しい。
こんな温かい感情、今まで知らなかったんだよ。
もっと早く、美結ちゃんに出会っていればな……。
そう返信をしていると、突然画面が変わり、知らない電話番号からの着信に切り替わった。
だ、誰だろう……。こんな夜に電話をかけてくる相手はもうわたしにはいないし、……。
一瞬出るのを躊躇ったけど、恐る恐る出てみることにする。
「…も、もしもし」