冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
《………》
ど、どうしよう……っ。もしかしてこれ、無言電話……?
こ、怖い……っ!
すぐに出なきゃよかったと後悔したその矢先──
《……、あやちゃん?》
見知ったその声が、耳元で聞こえた。
それは、わたしがずっと求めていた人の、愛おしい低音。思わず、涙が零れそうになる。
驚きのあまり、手を口に当てて声を抑えた。
「……は、はい。わたしです、あやですっ」
どうしよう、嬉しいよう。
こんな風に思っちゃいけないのに、湧き上がる喜びを抑えられない。
わたしの体中の血液が沸騰するように、悦びを体で表現している。
《よかった、……出てくれた》