冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
「り、麗仁くん……っ!!?ど、どうしてこんな所に──!」
《はは、驚いた?おれ、エスパーだからね》
そんな冗談も、麗仁くんが言ったら決して冗談とは思えない。だからこそ、心臓に悪い。
ヘンに緊張しまくっていても仕方がない。
「麗仁くん、冗談はやめてください……。どうして、ここが分かったのですか」
《えー、それ言わなきゃだめ?》
「ダメです」
小さく小首を傾げ、甘えたような声を出す麗仁くん。
《おれがこの街のトップだってこと、知ってた?好きな子の居場所くらい、把握してなきゃ皇帝失格だよ》
今、流れるように自然と、麗仁くんの口から“好きな子”というワードが出た。
それに、神楽様は、麗仁くんがここ何週間も必死でわたしを探していたって言っていた……。
わたしの前だから、格好つけようとしてるのかな。
そんなことをしなくても、麗仁くんはそこにいるだけで十分過ぎるほどかっこいいのに。