冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。


誰も予想していなかった、悲劇が起こったのは。


どこか遠くから、バァンッ!!という激しい銃声が響き渡ったかと思うと、それは真っ直ぐにわたしの方へ向かって飛んでくる。


銃弾なんて、目に見える速度じゃなかった。


それでも、察したのだ。

目の前には麗仁くんの焦った表情。絶望に満ちた、青白い顔。


わたしの元へ全力で走ってくる麗仁くんは、きっと間に合わない。


麗仁くんが辿り着く前に、わたしが銃に撃たれる。


妙に冷静な頭でそう確信した。


だって、これは当然の報いだ。

──麗仁くんの側に行きたいと願い、行動に移してしまったわたしへの、神様からの罰則。


神様のお気に入り、それとも神よりも上の存在である麗仁くんを不幸へと導こうとしていたんだ。


そんなこと、許されるはずがない。

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