冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
銃弾がわたしの体を突き抜ける。
だけど、不思議と痛みは感じない。
……ああ、即死だったからかな。
ここはどこだろう。なんだか目の前が真っ暗だよ。
寂しい、寂しい、寂しい。
麗仁くんの姿が見えない。
「……っおい!お前、なんてことをしたんだ!」
「誰が飛鳥馬麗仁を殺せって言ったんだ!!殺すべきは七瀬彩夏1人だっただろうがっ!!!」
「あぁあ、主様に殺されるぅ……っ。俺、なんてことをっ」
そんな男たちの悲鳴が、近くから聞こえてきた。
それで、はっと我に返る。
わたしの体に、何かがのしかかっているのを感じた。
それは、……人1人分の重さ。
その人の体から、ボタボタと大量の血が流れていっているのが伝わる。