冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。


いつも堂々とした面持ちで、何にも恐れることはなく人間の最高点に位置しているような麗仁くんが、今、こんなにも弱りきっている。


……不安にならないはずがない。


「麗仁くん、わたしのことを守ってくれて、ありがとうございます……っ、」


───わたしは、人を不幸にすることが得意な、疫病神。


……だけど。

こんなことがあったのに、わたしは麗仁くんの側にいたいって思ってしまっている。


なんて身の程知らずな、大馬鹿者だろう。

だけど、それでもいい。


神様がわたしに数多もの矢を向けても、わたしはそれに歯向かう悪人になってみせる。


麗仁くんの所へ行きたいと強く思った時、そんな決意もしたんだ。


 ♦


 -麗仁side-


終わりなんてないように思えた。

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