冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。


おれの前で、怯え続けるその子がすごく、凄く可愛かった。大きな瞳には涙が浮かんで、今すぐに溢れてきそうなほど。


それを見て、おれがこの子を泣かせている状況に、柄にもなく心臓が震えた。

つまり、興奮したんだ。


色白の肌は夜闇の中美しく映えて、長い黒髪は部屋の照明に照らされて艶やかに煌めき、瞳を伏せた少女の長い睫毛が幻想的で……。


おれはその全てに、一瞬で恋に落ちた。



『おれが直々にこの霜蘭花(そうらんか)に呼んであげたのに、いつまで口を噤んで黙っている気?』



その子の反応が気になって、おれはわざと(おびや)かすようなことを言う。


『───っ、』


少女の肩がビクリと震えた。

おれの一言一句に、大げさに反応する彼女がかわいい。

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