冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
この女たちにも、自分の子供の側にこんな色女ばかりを置く両親にも。
何が、おれが寂しくならないように、だ。
そんなのただの言い訳じゃねぇか。
育児放棄をしているってことに、あの人たちは気づいていない。
自分たちの行いこそが正しいと洗脳されたように、馬鹿みたいに信じ切っている。
女の愛に溺れているだの、それで寂しさを紛らわしているだの。
そんなウワサ、聞き飽きたんだよ。
真実性を疑われるようなウワサにこそ、尾ひれはついていくものだ。
それは、ウワサをする奴らにとって価値のある話題だから。
東ノ街の皇帝なんざの話は、みんな興味があるのだろう。
『おれといっしょの空間にいるの、そんなに怖い?』
自嘲気味な笑みと共にそんな質問をする。