冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。


『今日からこの女がおれの最愛のひと、ね』


そんな告白を、言い放った。

きっと、その場で1番驚いていたのは言うまでもなくあやちゃんだった。


『へ……、』


あやちゃんの小さな声が聞こえたのを境に、大広間にいた人間たちが皆交互に顔を見合わせ、そこに驚愕の色の浮かべている。



『あ、飛鳥馬様……。今何とおっしゃいましたか』

『え?だーかーら、こいつが今日からおれの最愛のひとだって言ったの』


配下の中の1人が手を挙げて質問をする。


『ですが、……』


食い下がる配下にイライラが募る。


『なに?まだなんかあるわけ』


それに丁寧に答えてあげる優しいおれ。


……小さい頃は、そんな横暴極まりないことを思っていた。まるで自分が特別であるかのような態度ばかり取っていた。


周りの人間を自分と対等に見たことがなかった。

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