冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。


そんなおれに、彼女はなんて言ったと思うか。


迷いなき真っ直ぐな瞳で、こう言ったんだ。



『どうして、そんな態度が取れるのですか……っ。あなたは確かに皇帝だけど、それでもその権力を傘に使ってえらそーな態度を取るのは間違っていると思います!!』



あやちゃんの手はブルブルと震えていた。

皇帝に歯向かうなんて、そんなことができる人間はそうそういない。

そして、あやちゃんに言われた言葉を聞いても、不思議と全く嫌な気はしなかった。


むしろ、確かにそうだな、とどこか納得していた。



『へえ。君、言うね』



おれが少し声のトーンを落として、目をすっと細めただけで、蛇に睨まれた蛙のように身を縮こまらせてしまうあやちゃん。


そんな反応をもっと見たいって思うのは、鬼畜だろうか。

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