冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
その言葉に、あやちゃんの顔が真っ青になっていく。
違う、そんな顔をさせたいんじゃない……。聞いてほしいんだ、おれのこと。
『妙に綺麗で、よそよそしくて、おれとは似ても似つかないこの“麗仁”って名前が大キライだった』
……そう、きらい“だった”。
『……だけどね、お前が呼んでくれる名前は、キライじゃないよ』
『……!』
色白の頬がほんのりとピンク色に染まる。
大きくてくりくりとした瞳が、ゆっくりと見開かれていく。どこまでも透き通った薄茶色に、呑まれてしまいそうだった。
『わ、わたしは……っ、りとくんの名前、好きです!』
『…え、?』
今度がおれが目をまん丸くする番だった。