冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。


わたしは体に駆け巡る衝動のままに、大好きな人に抱きついた。


「うわ……っ、て、あやちゃん?」

「……っぅ、う〜〜りとくんだ、りとくんが目を覚ましたぁ……っ」


涙がとめどなく溢れて、ベッドのシーツにどんどんシミを作っていく。

麗仁くんはそんなわたしの背中に腕を回して、抱きしめ返してくれた。


「なぁに泣いてんの。おれが聞きたいのはあやちゃんの泣き声じゃないんだけど」


そんなの知らない……っ。

わたしは今、心がいっぱいいっぱいなんだ。


「うぅ〜、麗仁くんのいじわる!何も言わずに泣かせてくれてもいいのにぃ〜〜」


いつもの敬語は悲しさからか嬉しさからか取れてしまって、小さな子供のように泣きじゃくる。


「はは、ごめん。おれが目ぇ覚まして安心した?」

「うん……っ、した。すごく、」

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