冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
もうわたしは、この方の側を一生離れたくない。
──今夜のようなことが、また起こってしまうとしても。
守られるばかりの存在じゃなく、わたしは麗仁くんの力になりたい。
互いの熱い視線が絡まる。
自然と顔を近づけていく。唇が触れる、その寸前で───
「真人、ちょっと出てってくれない」
麗仁くんの視線が、仁科さんに向けられた。
「かしこまりました、飛鳥馬様」
どこまでも忠実なその人は、言われるままに病室を後にする。
「あーやちゃん、おれが目覚まさなくて寂しかった?」
そんなことを聞いてくるあたり、麗仁くんは意地悪だ。わたしが何て答えるか分かった上で、聞いてくるのだから。
「……寂しかったです。凄く」
素直にそう言えば、驚いた顔をした後麗仁くんはまた幸せそうに顔を綻ばせた。