冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
嵐の前の静寂


「あやちゃん、そんな大荷物抱えてどうしたの」


大きな紙袋を抱えて麗仁くんの病室の扉を開けると、目をまん丸くさせた麗仁くんに出迎えられた。


「あ、えっとこれは……」


どう言ったものか。

この紙袋の中身が麗仁くんの肌着やパンツもろともの日用品ですなんて言ったら、麗仁くんのプライドに傷がついちゃうんじゃ……。


そんな心配をしてしまう。


「仁科さんから預かった日用品です……!」


悩みに悩んだ結果、オブラートに包んだ表現をすることにした。


「なに、真人があやちゃんにそんな大きな荷物を任せたってわけ?」


あ、あれれ……?

わたしが病室に入ってきた時までは機嫌が良かったはずなのに、今の麗仁くんはなんというか、怒ってる?

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