冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
「うぅ〜〜、彩夏が目の前にいるよ゛〜〜っ。これって幻?私の夢っ?」
「ゆ、夢なんかじゃないよ〜、わたしは本当にここにいるよ〜〜っ」
「ああっ、これ絶対に私の妄想じゃん!彩夏ぁ〜、いつになったら学校来てくれるのよぉ」
今朝からずっとこの調子の美結ちゃんに、どう接すれば良いのか困っていたわたし。
『えー、あやちゃん学校に行っちゃうの。おれの所にずっといてくれていいのに、』
寂しそうにわたしにくっついてくる麗仁くんから離れるのはわたしも嫌だったけど、これ以上学校に行かないというのは色々とマズい。
それに、美結ちゃんは今もわたしのことを相当心配してくれているんだ。
麗仁くんと美結ちゃんのことを天秤にかけたくはなかったけれど、今日のところは美結ちゃんが勝ってしまった。
『り、麗仁くん。学校が終わったらここにまた来てもいいですか……?』