冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。


が、学年イチ可愛い……っ!?

それって、わたしのこと……っ??

クラスメイトが口々に言うその言葉たちを、ほぼ理解できていないのはわたしだけ……、。



「わっ、わたしは本当に似合わなくて……。わたしよりもっと可愛い子なら他にもいっぱい……っ」

「七瀬サンのメイド姿みたい奴ら手ぇ挙げろー」



最初にわたしのことを可愛いと言ってくれた男子が、そんなことを言う。


早乙女くんって人だ……。クラスのムードメーカーで、いつもみんなの中心にいるような人気者。


早乙女くんに続き、次々と挙がっていく沢山の人の手。


こっ、これ……っ、もしかしてわたしに対するいじめなんじゃ……?

それなら、こんな状況にも納得がいくよっ。


「わ、分かりました……。わたし、やります」


こういう時は、素直に従うのがいいって誰かが言っていたような気もする。

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