冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
住む世界が違うって思い知らされる。
前まではそれにいちいち胸が苦しくなっていたけれど、今はもう大丈夫だって思える。
わたしのことを大切に大事にしてくれている麗仁くんと、たとえ生きる世界が違えど一緒に生きていけるならそれでいいって考えられる。
エレベーターが30階に到着し、静かに扉が開く。
人気がなく、やけにおしゃれな廊下を進みながら、麗仁くんの病室を目指す。
少し行くとすぐに「飛鳥馬麗仁様」と書かれた病室に付き、コンコンと扉をノックした。
だけど、病室の中からは一向に反応がなく……。
寝てるのかな?
そう思って、そっと横開きの扉を開けた。
途端、クーラーの効いた爽やかな空気が頰に触れる。