冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。


薄いカーテンの隙間から差す淡い光が小さな埃をキラキラと煌めかせ、幻想的な雰囲気を作っている。


麗仁くんは……寝てる。

すやすやと静かな寝息を立てる麗仁くんに近づき、その綺麗な顔を覗き込む。


取り敢えずベッド脇の椅子に腰掛け、学校の荷物類も床に置いた。


再び視線を戻すと、すぐに視界に入ってくるのは包帯の巻かれた麗仁くんの右肩。


わたしを庇ってくれた時、銃弾は麗仁くんの右肩辺りを突き抜けて……。


病院に運ばれた時にはもう重度の怪我に変わり果てていたから、再生にも相当時間がかかるってお医者さんが言っていた。


「麗仁くん……、」


わたし、心配でどうにかなっちゃいそうだよ……。

今もただ眠っているだけだと分かっているのに、ここまで心配になるのは麗仁くんの顔色があまりにも良すぎるから。

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