冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
色白の肌は夏の光に映えて美しく、長い睫毛が伏せられた切れ長の瞳、凛々しい眉、色付いた唇。
その全部が、今にも消えてなくなっちゃいそうで怖くなる。
「……わたしを1人にしないで」
麗仁くんが起きていたら、絶対に言えないような弱音を吐き出してしまう。
縋るような思いで麗仁くんの大きくて骨ばった手を握る。
そうすると、わたしが触れたところから一気に熱が伝わって、麗仁くんの冷たい手が少しは温かくなるんだ。
「──絶対に1人にはさせないよ。あやちゃんを1人にするなんて、何よりおれがいやだ」
……っ、!!?
ビックリした。
さっきまで寝ていたはずの麗仁くんが、体を起こしてわたしをギュッと抱きしめているんだから。
左腕でわたしを胸の中に閉じ込め、「はぁ、」とため息をついた。