冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
そんなため息をついて、何か嫌なことでもあったのかな……?
「り、麗仁くん……?なにか嫌なことでもあった、の」
「へえー、あやちゃんにはやっぱ分かっちゃうんだ」
やけに嬉しそうな声音に戸惑う。
そんな返事を返すっていうことは、やっぱり嫌なことがあったんだ。
「な、何があったの……」
「……、んー?別にぃ」
そう言って、わたしを抱きしめる力を強くする麗仁くん。
少しだけ、いつもより様子がおかしい。
麗仁くんなら、ここで嫌なことを包み隠さず話してくれそうなのに、……。
少しずつ、疑念が増していく。
それと同時に、心配や不安もひどくなっていく。