冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。


それは、どうして……?


ご飯を食べ、お風呂に入り、ベッドで眠る時まで、ずっとそんなことばかりを悶々と考えていた。


何かこれから、悪いことが起こりそうな気がする──。


幼い時から、悪い予感だけはよく当たったわたしだ。

きっと今回も、容赦なくその予感は当たってしまうのだろう。


その日、わたしは絶望の中で底なし沼に落ちていくような感覚で眠りについた。


 ♦


悪い予感は当たるものだって、初めから分かっていた。

分かって、いたのに……。



「飛鳥馬麗仁様が、昨夜当院から失踪いたしました」


まさかこんなことを聞かされるとは、誰も思わないでしょ……?


神様はいつだって、望まない結末をわたしにばかり与える。

ブラックサンタよりも、酷い存在だ。

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