冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
両街・抗争開始
夏の日差しが肌を突き刺すように、段々と気温が高くなっていく今日この頃。
わたしは皇神居の目の前にいた。
絶対に入ってはいけない領域に、わたしはとうとう足を踏み入れてしまった。
それがどれだけ重大なことなのか、わたし自身もう気づいていた。
「お前、何者だ。どこから来た、要件を言え」
皇神居全体を囲み、警護を遂行していた見張り役に、さっそく刃物を突きつけられて拘束されてしまった。
わたしの考えなし……っ、こうなるってどうして思い浮かばなかったの!!
腕を強く摑まれて、相手の爪が肌に食い込み、ピリッとした痛みが走る。
「わっ、わたしは……、麗仁くんに会いに、」
「嘘を吐くな。その穢らわしい口であの方の名前を言うなど、不敬な」
容赦ない鋭い眼光がわたしを刺す。