冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
……っ、それだけは絶対に、ダメッ。
「麗仁くん──!!もしそれで撃ったら、わたし麗仁くんのこと嫌いになっちゃうからねっ……!!」
本気だった。
それくらい、今の状況は重大なもので……。
わたしの言葉にハッと我に返ったらしい麗仁くんは、今度は絶望的な色を表情に湛えて。
「……っ、そんな、嫌いだなんて言わないで」
すぐに拳銃を手放して、涙目でわたしの元へ駆け寄って来るから。
すぐに怒りなんて収まっちゃって……。
「麗仁くんが人を殺さないんだったら、ずっと好きでいます」
なんていう上から目線の物言いで、大好きな人の頭を撫でてしまうんだ。
「…うん、おれ、もうあやちゃんが怖がるようなことはしない。絶対に」