冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
「…っううん、どこにも行かない!わたしは麗仁くんの側にいたいです!」
それがどれだけ麗仁くんに迷惑をかける行いだとしても。
「……ううん、戻って」
だけど、麗仁くんは妙に冷静で冷たい声をして、そう諌めた。
どこからか、バイクがドリフトする爆発音が聞こえてくる。
その喧騒は、すぐ近く。
バババンッと激しい銃声音も聞こえてきて、わたしは我に返った。
ここは、朝でも昼でも夕方でも、危険な街───
皇神居の周り一帯には、いつだって殺し屋たちが蠢いているんだ。
「り、りとくん……わ、わたしっ」
「──っ!!あやちゃん、危ないっ!」
すぐには状況が理解できなかった。