冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
麗仁くんが仕切る霜蘭花とは似ても似つかない、華やかな紋章。
大男たちが着ているスーツの胸元には、その紋章が高々と描かれていた。
霜蘭花と敵対するもう1つの街──西ノ街を支配する暴走族、霜華。
その皇帝の名は、わたしの元彼氏だった、天馬伊吹くん。
「そんな、どうして……」
分かっている。
伊吹くんは、もうわたしには優しくないんだって。
伊吹くんはこれから、容赦なくわたしの愛する人を傷つけるんだって。
自分の敵だから──、そうせずにはいられないんだ。
麗仁くんに襲いかかる沢山の危険。
そんな中、麗仁くんに向かって銃口を向けている伊吹くんを見つけた。
もう、何も考えられなかった。