冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。


わたしが今すべきことはなにか。
何が出来るのか。


そう考えたら、勝手に体が動いてた。

これはね、人間の本能的な何かだと思うの。


愛する人を守りたいっていうね。


バン───ッ。


この街に、最後の銃声が鳴り響く。

意識が遠のいていく。


計り知れない痛みの中、わたしは最後に麗仁くんと伊吹くん両者の悲痛な声を聞いた。


 ♦


皆が動きを止めていた。


1人の女の子が、冷たいアスファルトの上に倒れていくのを、ただ呆然と見ていた。


麗仁が彩夏の元へ駆け寄っていく。

そして伊吹は、膝からその場に崩れ落ちた。

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