冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
「あやちゃん……っ!!」
「…っ彩夏───ッ!!」
2人の皇帝は、互いに1人の女の元へと這いつくばってでも近づいていく。
腹部から血を流して、ぐったりとした様子で倒れていた彩夏。
麗仁は、その光景に絶望を覚えた。
それと同時に、今まで感じたこともない怒りが沸々と湧き上がってくるのが分かった。
“あいつを殺せ。今すぐに───”
その一言で、両街は再び、抗争を開始した。
飛び交う血が地面を真っ赤に染めていく。
血の海と化した皇神居の真ん前は、もはや人間が住まう街ではなくなってしまった。
ゴンッ、ガコンッと金属と金属がぶつかり合う音。
金属製バッドを持った男が、霜蘭花の幹部に襲いかかる。
「そんなもの武器にして、汚ねぇぞ」