冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
だけど、今さら謝るくらいなら、どうして今まで会いに来てくれなかったのって当たりたくもなった。
だけど、それを必死に抑えて、わたしは感謝の言葉を口にした。
わたしにとってお母さんはいつまでもたった1人のお母さんなままで、海よりも深いと言われる愛情を求めたくなる相手。
「っ、今まで母親らしいこと、1つもできなくてごめんね……」
「……」
どうして……、そんな風に謝るの。
「……母親らしいって何?そんな定義、わたしは知らない」
「……あやか?」
「お母さんは毎日、わたしとお父さんのために働いてくれてたじゃん……っ!わたしの高い学費と、お父さんの入院費用を稼いでくれたじゃん……っ!!」
“それのどこに、謝る必要があるのよ……っ”。
最後までは言えなかった。
その前に、大量の涙が一気に押し寄せてきて、わたしは嗚咽を漏らした。