冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
話の脈絡が全く掴めそうにないよ、……。
「あなたは昔、麗仁くんの“許嫁”だったの」
麗仁くんの許嫁だった。
麗仁くんの、許嫁だった……?
お母さんが放った言葉を、心の中で何度も反芻する。
どういうこと……?
お母さんは確かにああ言った。
だけど、その言葉を理解するのはあまりにも難しくて……。
「なに、言ってるの。お母さん」
そんな訳ない。
麗仁くんとわたしに、昔はないはず。
だって麗仁くん、そんな素振りなんて1つも見せてなかったもん。