冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。


何十年にも渡るこの恋を、終わらせなければいけない。


おれの心臓は、もう立ち直ることはないかもしれないと医者に言われてしまった。


今度こそ、ちゃんと諦めないと。

諦めの悪いおれが、完全にあやちゃんを忘れることが出来るかは、不確かだけど。


 ♦


「──…様、あす……。飛鳥馬様」

「っ、ああ、何?」


真人の声で、我に返った。

どうやらおれは考え事に耽っていたらしいが、その内容が思い出せない。


……まあ、いいか。


「これから手術のお時間です。体調はいかがですか」

「……大丈夫。心配ない」

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