冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。


いつにも増して心配性な真人に、思わず苦笑いする。


「…っふ、真人、おれが誰だか忘れたの?」

「……っ、いえ。忘れてなど、いません。飛鳥馬様は強いお方です」

「うん、それでいい」



にっこりとした笑みは、きっと不完全な作り笑いだったと思う。

それからオペ室に運ばれたおれは、麻酔と共に意識を手放した。



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『りとくんのバカーーーッ!』

『はぁ?なに言ってんだ彩夏』


『わたしが楽しみにしてたチーズケーキ、りとくんが全部食べちゃったもん!!あやまって!!』


……ああ、可愛いなぁ。

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