冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。


りとくんが笑った、りとくんが楽しそう。

そんな言葉を言いながら、可愛く踊りだしたあやちゃん。


あやちゃんはいつも、不器用なおれを大切にしてくれていたな……。

優しい笑顔をおれに向けてくれていた。


その笑顔を思い出すだけで、おれは後数十年頑張っていけるって、本気で思ってたんだよ。


おれ、きっとあやちゃんのためなら何だって出来る。

どんな手段も厭わないと思う。


それくらい、君にゾッコンなんだ。

それでも、この想いは今すぐに断ち切らなきゃ───。


もし、おれが目を覚ますことがあったとしても、おれはあやちゃんとはもう会わないよ。


それぐらいの覚悟がないと、あの手紙は書けなかったんだ。


……あれ、何だか、視界が眩しい。

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