冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
真っ白で温かい何かに体中包まれているみたい。
そんな陽だまりの中、愛しい人の声がおれの名を呼んだ気がした。
───麗仁くん。
……やめて、その声を聞いたら、おれの心臓がまだいけるって頑張っちゃいそうだから。
おれは死ぬ運命だったのに、誰かさんのせいで、まだこの世界で息をしなきゃいけないかもしれないから。
「……目を…ください。飛鳥馬様、……きてくださ…」
真人に似た声がすぐ近くで聞こえてくる。
「んん、……」
「…っ飛鳥馬様!目をお覚ましくださいっ……!」
今度ははっきりと聞こえてきた。
こんな状況、前にもあったななんて思いながら、おれはそっと重い瞼を開けた。