冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
もしかして、わたしと麗仁くんの記憶って全く違っていたりして……?
病室の窓へ顔を向ける。
窓の外は、晴れやかな青空だ。
麗仁くんからこんなにも沢山連絡が来ているのに、未だわたしの心が晴れないのは……、きっと麗仁くんのせい。
あんな最悪な切り出し方でわたしの前から姿を消して、でも今度はまた恋人に戻りたいって……?
そんなの、色々と急すぎるんだよ。
もちろん、わたしだって麗仁くんに会いに行こうとしてたよ。
でも、それをする前に相手からこんなにも迫られたら、誰だって身を引きたくなるでしょ……?
少なくとも、わたしはそう。
今、すごく麗仁くんに対して怒ってる。
「そんな簡単に、会ったりしないんだから……」
それが、今のわたしにできる精一杯の抵抗だ。