冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
誰もいない病室に挨拶をして、わたしは病院の出口まで下りて行った。
「お母さん、おはよう」
「ん、おはよう。体調はどう?無理して行かなくてもいいんだよ」
「ふふ、大丈夫!もう元気いっぱいだよ」
「そう?それなら良かった」
最近、お母さんと頻繁に会える機会が増えたから凄く嬉しいんだ。
きっと、お母さんがわたしとの時間を無理してでも作ってくれているから。
だから、この1秒1秒が大切でかけがえのないもののように思える。
お母さんの車で学校の前まで送ってもらって、バイバイをして別れた。
これから美結ちゃんに会える……っ!
そう考えただけで、軽くなる足取り。