冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
メイドをやるからには、頑張らないとな……っ!
そう気合を入れて、わたしはその日を終えた。
美結ちゃんとバイバイしてから、学校の正門を出る。
そのタイミングで、影からぬっと現れたその人に、思わず釘付けになってしまった。
「───あやちゃん…っ!」
「……なんで、」
どうしてあなたが、ここにいるの。
今ここにいるべきじゃない人。
……本当は、わたしがとても会いたかった人。
勝手にわたしの前から消えて、だけどまた会いたいなんて言ってくる、勝手な人は、今、麗しい顔から汗を垂らして息を乱している。
「お願い、ちょっとだけ時間ちょうだい……っ?怒ってるかもだけど、それでも」
「……麗仁くん。わたし、今すっごく怒ってる」