冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。


元来麗仁くんにこんな態度を取れる身分じゃないのに、……ここまで勝手な振る舞いをするなんて。


自分でもどうかしてるって思ってるよ。


「じゃあ、ばいばい……っ」


麗仁くんの手がわたしの腕を掴む前に、わたしはそこから駆け出した。


きっと、もし手首を掴まれでもしたら、わたしはその手を振り放せる自信なんてこれっぽっちもないから。



「あやちゃん───!!」


わたしの名を悲痛に呼ぶ麗仁くんの声が後ろから追いかけてくる。


「今日の夜、21時半に、あやちゃん家の近くの公園で待ってるから……っ!あやちゃんが来るまで、ずっと待っているから!」



だから、絶対に来て欲しい───…。


そんな叫びが、わたしの脳内に反響する。

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