冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
必死に懇願するその姿は、この街の皇帝とは全くかけ離れた情けないもの。
それなのに、わたしに関わることなら何だって厭わなくなる麗仁くんが、やっぱり凄く好きだって思った。
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あの方は、きっとわたしが来なくてもずっと待っているんだろう。
それなら、いっそ行かないでおこうか。
自分の行いの酷さを、身にしみて分かってもらおうか。
「はぁ…〜〜」
麗仁くんのすることは、いつだってズルい。
わたしの心の弱さに漬け込んで、わざとあんな言葉を最後に言うなんて。
今は21時を少し回った頃。
お風呂も入り終えて、夜ご飯も食べて自分の部屋のベッドの上でぼーっとしていた。