冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。


必死に懇願するその姿は、この街の皇帝とは全くかけ離れた情けないもの。


それなのに、わたしに関わることなら何だって厭わなくなる麗仁くんが、やっぱり凄く好きだって思った。


 ♦


あの方は、きっとわたしが来なくてもずっと待っているんだろう。

それなら、いっそ行かないでおこうか。


自分の行いの酷さを、身にしみて分かってもらおうか。


「はぁ…〜〜」


麗仁くんのすることは、いつだってズルい。


わたしの心の弱さに漬け込んで、わざとあんな言葉を最後に言うなんて。


今は21時を少し回った頃。

お風呂も入り終えて、夜ご飯も食べて自分の部屋のベッドの上でぼーっとしていた。

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