冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。


しかも、鈍感って……誰が。


頭の中がはてなマークで埋め尽くされそうになった時、美結ちゃんが「まあいっか!」と言ってわたしの頬から手を離したので、わたしも不思議に思う気持ちは捨てた。


朝の会が始まるまでの20分、クラスメイトたちが登校してくるのを見ながら美結ちゃんの席でお喋りをして朝のちょっとした時間を過ごした。


8時35分。
3組の担任で社会科を担当している山西(やまにし)先生が猫背で教室に入ってきた。


友達の席でそれぞれわいわいと喋ったりふざけたりしていた生徒たちが一斉に自分の席に着いていく。


もちろんわたしも。


わたしたちが席に着いたのを確認した先生が、ぐるりと教室を見渡して口を開いた。



「これからSHRを始める。総務、挨拶」



学級委員長の(たちばな)さんの「起立、礼」でみんなが立って礼をして、そしてまた一斉に椅子を引いて座った。



「お前たちに知らせたいことがある。これは吉報だぞ」

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