冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
そう言って、また甘いキスを落としてくるんだから、相当タチが悪いと思う。
「──彩夏、かわいい」
急に呼ばれる呼び捨てに、胸がドキンと高鳴る。
もう、ずるすぎだよ……。
こんな時だけ、そう呼ぶのは。
「もう、一生離さないから───。だから、あやちゃんもおれを離さないで」
甘く痺れる快感の中、そんな甘い響きが耳に入る。
それは、どこまでも純粋で、だけど強引な愛の告白。
「……はぅ、もう、勝手に離れて行かないで。次そんなことしたら、ぜったいに許さないんだから」
涙目でそんなことを言う彩夏に、麗仁はどうしようもない切なさを覚えた。