冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
さっきと同じように教室中をぐるりと見渡し、唇の片端を上げてニヤリと笑った先生の言葉に、静かだったクラスメイトたちがザワザワとし始める。
吉報?何だろう、気になる……。
普段は無表情の山西先生が笑うくらいのことだから、きっと何か特別なことに違いない……!
椅子に座って体を前のめりにして先生の次の言葉を待っているみんなと同じように、わたしも先生の声に耳を傾ける。
「───東宮内高校に通うご令嬢とご令息方たちと講堂で交流会を開けることが決定した」
────え?
先生の言葉に、わたしの目がカッと見開かれた。
わたしが驚いているのと同じように、クラスメイトたちの驚きの声で教室の中が騒然となる。
なぜ、わたしたちが驚いているのか。
それは、今先生が言ったことは決して現実には起こり得ない“ありもしない”ことだったからだ。
「えっ、えっ!?先生っ!!それ、本当ですか!!」